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香りの先にある風景

6月30日
読了時間: 5分

 想像してみてください。朝起きて珈琲を1杯入れる。部屋に漂う香りが気分を高揚させます。液体を口に含むとほろ苦さもありつつも、発酵の果実感やコク高さ、チョコのような甘みを感じることもあるかもしれません。


 珈琲の味わいによっては珈琲豆になるまでにどのような過程を経ているのか、考える人もいるかもしれません。ですが、コーヒーチェリーを栽培している”生産者の方々”まで思い浮かぶ人は少ないように見えます。実際に私自身、”焙煎をしてる方”がどのように工夫を凝らしているのかを考えていることが多かったように思います。


 先日幸運なことに、生産から加工、パッキング、販売までを管理し、実際にお客様と向かい合って珈琲や蜂蜜を販売している方に出会いました。その方はベトナムを拠点にしており、日本と行き来し、日本の各都道府県ポップアップの販売。過密なスケジュールですが、それらを心から楽しんでいることが伝わる、そんな素敵な方です。

リレーバトンのように世界中に届けられる

 私たちが自宅で、お店でコーヒーを飲むまでにどれほど時間がかかっているのでしょうか。一概に全てが同じ、とは言えませんが参考までに。


①まずはコーヒーの木を植えるところからです。ここでは木の根を食べてしまうバクテリアを排除するために土壌から整備する必要があるといいます。


②コーヒーチェリーが順調に育ち、収穫。手摘みもあれば機械に頼ることも。ここで品質が大きく分かれます。


③果実からコーヒー豆を取り出します。ウォッシュドやナチュラル、ハニープロセスなど聞いたことがある方は多いかもしれません。

 この精製方法をミックスした手段や、他の果物と発酵させるインフューズドもありますが、ここでは飛ばします。


④コーヒー豆を乾燥させます。機械乾燥、天日干しです。湿度や天気も関係してきます。


⑤脱穀と選別。乾燥させた豆から殻を除去し、欠点豆や大きさ、比重、色など選別していきます。この時点でまだ生豆(焙煎前)です。


⑥生豆の状態で輸出・輸送されます。


⑦買い手の元に届いたのちに焙煎。焙煎師によってコーヒーの香りや味わいを調節。


⑧品質確認また、ブレンド。カッピングと呼ばれる品質確認や、お店によっては複数の豆をブレンドします。


⑨ここからはお店でよくご覧になるかと思います。コーヒー豆を細かくグラインドし、お湯で成分の抽出を行います。


 ⑤⑥⑦の時点で輸出業者、輸入業者、生豆卸売業者、焙煎業者など仲介者が複数。生産者の方と直接取引されている方もいますので場合によります。およそ6ヶ月前後、コーヒー豆の多くは長い時間をかけて私たちの手元に届くのです。

鮮度高く、美味しく、そして楽しく

 ところがお隣さんは生豆が完成した後、最短で1〜2週間ほどで店頭に並ぶこともあると言います。本人曰く、新鮮な状態でいただいたコーヒーを美味しいと感じるからこそ、出来る限りその美味しい状態でお客様に提供したい、と。生産から販売までを自社で行なっているからこその強みですね。ですが、全てを管理しながら店頭販売まで行うには、作業量が尋常ではないと想像できます。


 そんな作業量をこなしているとは思えないほど、本人はとてもユーモアに溢れ、元気いっぱいの方なのです。お話を聞いてみると納得します。

 この方はお客様に新鮮なコーヒーをお届けするだけではなく、少しでも笑顔を足してお届けしたい、と。最近ですと、石油価格の高騰により梱包材などの値段が上がり、必然的に商品の価格高騰につながることが多くみられます。それを見て喜ぶ人は滅多にいないですよね。ほとんどの方がプラスの感情にはなりません。ですが、後ろ向きな気持ちを笑いに変えて、笑顔で送り出してくれるのです。

蜂蜜、人蜜?

 コピルアクさんはコーヒーだけではなく養蜂も行なっています。今回販売されていた種類は、コーヒー蜂蜜とライチ蜂蜜、ゴムの木の蜜でした。ゴムを作る原料が木の幹から取れる、そのゴムの木です。ゴムの木?から蜜が取れるなんて聞いたことがない人が多いのではないでしょうか。

 

 私自身も初めて聞きましたので、少し調べてみました。

 ゴムの木の葉の付け根や葉柄には花外蜜線と呼ばれる器官があるようです。この器官から蜜を出し、含まれる糖分でアリや蜂類を呼び寄せるようです。目的は葉っぱの防衛のようですね。ですが、蜜蜂たちは主に花から蜜を採集するため、蜜量の少ない葉に採集に来ることは少ないと言います。ベトナムではこの葉の蜜を人が採集するのです。故に、人蜜。

商品の背景にあるもの

 コーヒー1杯の背景にいくつものこだわりがあります。ですが、コーヒーがどのような過程を経て、今自分たちの目の前にあるかを考える人は少数派。


 "よくわからないもの"になってしまっているものほど、より安価な商品を求めてしまうように思います。実際に酢が身体に良いと聞いたかつての私は、砂糖が添加されている安価なものを選んで飲んでいた時期がありました。今では考えられない選択です。


 物の価値を、作られる背景とともに知ること。他の商品と比較して安価な設定になぜできるのだろうか? 逆に、なぜ値段の高い物もあるのか。成分表の確認や製造過程を見れば自然と理解します。


 どの商品であってもなんとなく選ぶのではなく、よく考えた上で選択することを大切に。aniceでも原材料の調達から意識しています。今後も妥協せず、1つひとつこだわって商品を作っていきます。コピルアクさんと出会えたことに感謝を。いつも支えてくださるお客様に感謝を。いつもありがとうございます!


 
 
 

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